2018年 01月 28日 ( 1 )

 

お入り下さい

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なぜ「下さい」と云わないのか。云えないのか。
「お入り下さい」、「お受け取り下さい」
「お帰り下さい」と例を挙げるまでもなく、
「下さい」は、いただきたい、頂戴したいなど、
相手に事物を請い求める意を表すときに使うことばだ。
元は「くださる」の命令形「くだされ」の口語形とも広辞苑にはある。
軍隊なら「入れ!」てなわけだ。

それが「~してもらっていいですか」に代わってしまった。
それでは老人には何のことか分からない。
やむなく「ああいいですよ」なんて返答してしまう。
行動を促しているなんて、これっぽっちも思っていない。
じっと次の投げかけを待つことになる。
云った方は怪訝だ。云われた方も怪訝だ。
会話が通じない。

思えば若い人の会話から「下さい」が消えた感がある。
原因に敬語の混乱があるのだろう。
直截的で乱暴なことばがややもすれば飛び交いがちな青少年も、
やがて社会に出ればときに丁寧な物言いが必要になる。
しかしことばに対する教養が無い。
そこにある種の誤解が生まれてくる。

得てして受動的な言い回しにする。
それでもって丁寧な言い回しだと誤解する。

受動態は一見言葉遣いに柔らかさを感じる。
その一方、語りかける意思の曖昧さ・弱さも伴う。
ある主「忖度」が必要な世界かもしれない。
その分、意思の伝達力が弱くなる。
要ははっきりしないのだ。

「入ってもらっていいですか」と看護婦さんが手招きした。
手招きしたから、これは入れとのことと理解出来る。
だが「もらって」が分からない。
「お入り下さい」の一言でいいのだ。

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by natsuman | 2018-01-28 09:47 | 言葉談義 | Trackback | Comments(0)