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雅楽の夕べ

先日の倉吉でのことである。珍しいものを拝聴した。
事前に市役所観光交流課から提案があった。
ここ倉吉には旧関金町出身の雅楽の奏者がいらっしゃる。
ついては関金温泉開湯1300年祭イベントとして「雅楽の夕べ」が催される。
それにご出席いただきたいと。
雅楽の夕べ_d0013739_08501680.png
中央が出身者の高多祥司さん。雅楽演奏家・篳篥(ひちりき)奏者とある。
左右の方もそれぞれ日本伝統の雅楽奏者。それも相応の方である。
奏ずる楽器は左から笛・ひちりき・笙(しょう)である。
生の雅楽の演奏なんて生まれて初めてだ。
どれもが笛の一種。だが老生はここで間違いに気がついた。
笛は別として、ひちりきと笙をあべこべに理解していた。

笛は日本古来の横笛。多少なじみがある。がひちりきと笙は縁が無い。
雅楽の代表曲は”越殿楽”。それくらいは知っている。
高校の時、音楽の授業で日本音楽の代表として習い、歌ったことがあるから。
優美かつ情緒豊かな調べで、正に平安時代ののどかさを思わせる。
毎年お正月にはテレビから流れる雅楽は大概これだ。

高多さんが解説を加えながら8曲ほど演奏した。
如何にもかすれた音の妙味を活かした笛は実に日本的。
一方、ひちりきの小さな笛に似合わない豊かな音量には圧倒される。
説明では音域が狭く7音くらいしか出ないという。それにしては朗々たる音だ。
笙は如何にも雅楽らしい音調を奏でる。
奏者の前に炭火が置かれ、始終くるくる回しては暖めている。
中の籠もる湿気というか蒸気を乾かすという。楽器としてはかなりデリケートである。
聴きながら思った。その音調はまるでパイプオルガンの如くだなと。
小さいながら何本も管がある。
その一本一本の音が和音となって荘厳な調となる。
ふーん、これは携帯式パイプオルガンだなと思わず顔がほころんだ。
雅楽の夕べ_d0013739_08483172.jpg
会場は関金の”鳥飼家住宅”。農家を移築したものらしい。
宿から見下ろした際、あれは何だと思っていたところだ。
農家風の古い家宅。奏者に向けられた照明以外、灯りは何もない。
間近に聴く雅楽は体中に響き渡る。
鉄砲隊は発砲音の影響で高音が聞こえづらい。
そんな耳にどう伝わったか。興味津々はボクだけか。
いろいろ聞きたいことがあった。だが演奏が終わったらサッと引っ込んでしまった。
写真も撮れない。もちろん演奏中の撮影はお断り。
仕方がない。一枚はnetから拝借した。
こういう文化がこの町にある。館山とは大違い。
歴史の違いをまざまざと見せつけられた思いだった。
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by natsuman | 2017-09-08 10:06 | 美術音楽 | Trackback | Comments(2)  

Commented by 砂利んこ at 2017-09-08 16:10 x
夏丸さん、お祭りでの火縄銃の演武を長く続けていらっしたから、こんなご褒美があったのですねえ!
広い会場とか屋外会場で聴く演奏とは違う迫力と繊細差を感じられたことでしょう。
羨ましい!
        (¬_¬;)  (*^_^*)
Commented by natsuman at 2017-09-08 17:46
羨ましがれるほどのことかどうか良く分かりませんが、
中学生の頃、初めて見た能楽と同じようなインパクトはありました。
暗がりで聴きながら遙か平安時代の調べはかくの如きか。
あるいは遡って大元の中国ではと少しだけ想いを巡らしました。

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