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旅客船か否かの違い

船とは人が乗る乗り物。である以上、人命の安全確保が不可欠だ。
もちろん転覆、浸水、漂流、火事になったりしては乗り物にならない。
そうならないよう建造し、また運航しなければならず、
ために必要な設備が法律で定められている。
旅客船か否かの違い_d0013739_09354805.jpg
なんでまたそんなことをと思われるかもしれない。
なあに、この間の海王丸を日本丸と間違えたことの続きである。
船舶は国内的にも国際的にも船体の構造や設備を整え、
また必要な資格を有する船員を乗り込ませろと法律で定めている。
では一般旅客も乗る客船はどうなるか。

貨物船なら専門の船員が乗る。漁船は漁船員という特殊な人が乗る。
ところが旅客船は船員以外に旅客が乗る。
船員はそれなりに教育を受けている専門家。だが旅客は海については素人。
旅客が乗っていてはいざというときお荷物になりかねない。
そこで旅客船は設備や安全への規定が一段と厳しい。当然である。
ということを言い換えれば、
客船以外は素人は乗らないという前提で船が造られている。

帆船日本丸は商船教育の練習船として国の予算で建造した。
ところが従来は船員の教育訓練にのみ使用する、
つまり乗るのは練習生だけと想定してきた。
もちろん練習生は列記とした船員の卵。素人のお客さんではない。
ところが「青少年のための海洋教室や体験航海」にも利用したいと意識が変わった。
かくして新しい練習帆船”海王丸”が誕生する。

日本丸はお客を乗せない。が海王丸は一般の青少年をも対象に乗せる。
そこで旅客船として建造。見た目には同じようでもここが違う。
皆さんも希望すれば旅客として練習船に乗り訓練を受けられる。
但しベッド数は22名分しかない。申し込みはお早めに!(笑)

両船はよく似ている。中々見分けにくい。
そこで、やれ船首像が違う。船側のブルーのラインの数が違う。
後部操舵所の、後からの波浪を防ぐシェルターの形が違うなと色々取りざたされた。
だが、どれも遠方からでは見分けにくい。
ところが旅客船とそうでない船とでは救命設備が違った。

旅客船はお客さんファースト。旅客船の方が設備規程が厳しい。
結果、救命艇の色が異なった。
細かくは色々あるが遠目にも分かるのは救命艇の色。
日本丸はオレンジ色。海王丸は白色。
沖合に停泊している練習帆船の優雅な姿の中に、
もしもオレンジ色が見えたらそれは日本丸。
海王丸は旅客船らしく白色である。
要は「国際航海に従事する旅客船」として誕生したか否かが、
救命艇の色に現れたというわけ。
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by natsuman | 2017-07-12 09:36 | 艦船舟艇 | Trackback | Comments(0)  

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