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中禅寺湖とボート遊び 5/23

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 日本の湖にはどうして優雅なスタイルの船がないのだろう。特にセールボートが。湖を見る度にそう思う。それはまたどんな水辺を見ても思う。ヨーロッパの湖沼風景となると必ずや優雅なセールボートが人待ちげに浮いているものだ。それが絵になっている。
 第一どうして日本の遊覧船はああも醜悪なスタイルばかりなのだ。白鳥型だったり海賊船だったり。船本来の優雅なスタイルにお目に掛かったことがない。日本には船遊びの文化がないんだとつくづく思わされる。
 手こぎのボートにしてもいかにも漕ぐのが楽しくなりそうなものがない。今ではプラスティックのスワンボートばかりが大きな顔をして並んでいて、ちょっと静かな湖面にオールを握って滑り出してみようかとの思いを壊される。
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 別荘とは縁のない生活だがセーリングには若い頃から親しんできた。とうとう海辺に住みつき4年前まではクルーザーも持っていた。それを脊柱管狭窄症で歩けなくなって維持管理に往生して泣く泣く手放したものの、穏やかな水面を見ればやはりセーリングの世界に、いや小舟への郷愁がふつふつと湧く。止めようがない。
 日光中禅寺湖は我が国へやって来た外交官等が好んで夏の避暑とした場所。軽井沢と違ってより涼しいし、まずは静かな湖面があり、足を延ばせばフライフィッシングに最適なフィールドストリームありで、退屈な避暑を越えての楽しい場がここにはあった。
 もちろん彼らのこと。母国での生活文化をそのまま再現しようと優雅な避暑ライフの中で交流交歓を繰り広げ、それが今は日光の歴史的な一頁となっている。
 そんな中には当然のように船遊びがあり、実際明治の頃から昭和の初期までは中禅寺湖ヨットクラブがあった。盛んにレースを楽しんでいる。それだけではない。冬はスキーにスケート、初夏にはフライフィッシング、夏にはセーリング、秋や冬には狩猟とアウトドアースポーツの花盛りだった。
 文化とは遊びの中から生まれる。彼らの遊びは彼らと交歓する日本人のハイクラスな人々にも輪を広げ、日光中禅寺湖はそんなある種の文化の我が国発祥の地なのだ。
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 湖岸にボートハウスなるものがある。かっての栄光の時代の名残だ。今は記念館になっていて使われている形跡はない。とても良い場所にある。なぜ使わないのかボクには不思議だ。
 湖岸に釣り用のボートは沢山並んでいてもセーリングを楽しむためのボートは一向に見掛けない。これだけの良い環境を目前にしてもそういう遊びを楽しもうという日本人がいないのだろうか。だとすれば日本人のアウトドアスポーツは今も百年は遅れていると云っていいだろう。

by natsuman | 2013-05-23 09:54 | 温泉・旅 | Trackback | Comments(0)  

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