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奥ゆかしい開店      6月1日

 数年前、趣味のそば打ちが高じて市内にそば屋を開業した方がある。それも商店街ではない。
 住宅地の中、普通のお宅。石塀と石門の中のごく当たり前の家。玄関先に短いエントリーがあり、よく見れば小さな案内と歓迎の看板がある。
 この房州に美味い蕎麦屋が誕生したと手放しで喜ぶ御仁は多い。だがここで言うのはそばの味ではない。その佇まいである。
 その前はちょくちょく通るが出入りしている客を見たことがない。ひっそりとした営業である。しかも週末のみの営業ともある。
 最近、市内のファミレスの様相が変わってきた。何とか続いている店も客層がすっかり変わってしまった。ひいきにしていた店もいつの間にか看板が変わり、ファミレスブームはさったかの感がある。
 一方、市内の、それもとんでもないところに、イタリアンが店を開いたり、予約専門のレストランが生まれたりもしている。
 最近も古い農家を改造して和食レストランが開業したと思ったら、それに負けずと市内の古いレストランも何やら肩書きつきのシェフを看板に客を誘っている。
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 こういうことの情報は女が早い。早速カミサンに引っ張り出された。旧館山市街のごく普通の民家改造レストラン。通りにはそれらしい看板が見あたらない。普通に門柱に◯◯と表札が掛かっているだけ。こら聞かないと分からん。
 でもよく見れば、きれいに手入れされた植木と石のエントランスの奥に、民家ではないドアがある。下にコチョウランが飾ってある。それをじっと睨んでやっとハハーンと納得する。そんな店が「レストラン山口」である。いや本当は店の名を知らない。表札が山口だった。

 店へ入って暫くして裏庭を見てハッと気がつく。あれっ、これは以前、散歩の途中に出くわした工事中の家ではないか。確か、屋根工事中で、我が家の屋根を何にするかで迷っていたとき、これは参考になるかと興味深く工事ぶりを覘いていた家だ。
 確認のため表へ出直して屋根を見てやっぱりそうだと確信。へーっ何だあれはレストランへの改造だったのかと。
 それにしても民家の玄関先の植え込みを巧く利用して、何だか妙に落ち着いた雰囲気のレストランに生まれ変わっている。
 だが通りを通る人の多くはここがレストランだとは気がつかない。派手な大きなものは要らない。でもひょっと覗き込んだら、レストランと小さな、でも鮮やかな看板が目につく、という雰囲気は欲しいねと奥さんにもの申した。
 知る人ぞ知る、それが開店のコンセプトなら余計なことだが・・・・。
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by natsuman | 2011-06-01 08:27 | 美味佳肴 | Trackback | Comments(0)  

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