30年前だったかな 10月24日
中央ロープウエイを使ってまずは鳥兜山頂へ。たしかに紅葉は眼下はるか下の方。上の方は既に葉が落ちて早くも寒々とした光景が広がる。きれいに刈られたゲレンデを下りながら、昔ここで滑った、ああここで、講師からいきなり直滑降といわれてびびったななどと想い出した。
その頃は中心だった中央ゲレンデもその後は、蔵王スキー場全体が樹氷原コースの方へと広げられて今や片隅的。でもやはりパラダイスゲレンデ周辺は霧氷が美しく、冬に蔵王へ行けば今でも一度は行きたい所。
かってはオーストリースキー教室がここから始まり、パラダイスロッジにはオーストリア人や裕福なスキーヤーで賑わい、古くから国際的な雰囲気の濃厚なところでもあった。
歌謡曲がうるさい上越のスキー場とは違ってゲレンデにはヨーデルが響き渡り、小屋には色とりどりの旗が靡いて、外国語が飛び交っていた。レストランのメニューにビーフシチューがあったのも懐かしい。
湯気の向こうガラス窓にはうっすら炎らしきものの明かりが揺れ、廻りの客は一斉に飛び出していく。どうやら泊まった宿ではなさそうだ、ならそう慌てることもないとボクはゆっくりと最後に出た。しばらくすると、どてらやスリッパ履きのスキー客が外から続々と逃げ込んできた。
火事はお隣の山小屋。スキー宿とはいえ温泉街ではない高原の山小屋である。冬は雪に閉ざされ下界に通じる車道はない。交通機関は唯一ロープウエイとリフトのみ。
大分経ってから、そのロープウエイを使って地元蔵王温泉街の消防団が移動用消防ポンプを運び込んだ。ドッコ沼の氷を割って消火に努めたが、その頃はあらかた焼けてしまっていた。その晩、非難客はむ一軒の宿とに分散して一夜を凌ぐ。
周囲は真っ白な霧氷の花が咲きこぼれる白一色の世界。そんな中、夜空を焦がす炎が周囲にゆらゆらと照り映え、実に荘厳な光景だったことを記憶している。
今回、そこへ立ち寄った。巨大な三角屋根の木造の小屋が建っている。昔とはうって変わって色とりどりの旗が風にはためき、ヨーデルの歌声がスピーカーから静かに辺りに響き渡っている。懐かしき「三五郎小屋」。小屋とはいえ六階建てというかなり巨大な欧風ロッジである。
オーナーが知ってますよとの言葉についご主人と話を交わす。「あれは30年前でした!ボイラーの給油管に火が入って・・・・・」、「そうですか、あの晩、ここにいましたか!」と。
その30年前という言葉に妙に感心して、ああそうか、そんなに経っていたかと、あらためて我が身の歳を思った! (でももっと経った、48年前のような気もする)
by natsuman | 2009-10-24 11:28 | Trackback | Comments(0)