2017年 12月 04日 ( 1 )

 

ついぞ昔の風景

昨日、ポンポン船は蒸気船ではない。発動機船だと書いた。
その発動機と云う言い方、何やら古めかしいが、
かっては立派な産業用機械だった。
農家に耕耘機が現れる前のことである。

子供時代、秋になれば動画のような光景がどこでも見られたものだ。
(動画はnetからお借りしました)
初期の小さなエンジン。それを発動機と呼んだ。

農業用の発動機、略して農発と云った。
軽量、可搬。必要な場所へどこでも運んで使えた。
田んぼへの揚水に、秋には脱穀にと便利に使われた。

エンジンとしては今日のガソリンエンジンと同じ。
燃料は石油。始動する時はガソリンを使って切り替える。
大概は1気筒。圧縮圧も高くない。構造は極めてシンプル。
冷却はシンプルなホッパー式。
貯槽に溜めた水が熱で沸騰し、蒸気となって逃げていくことで冷却した。
機械装置の割りには不似合いな仕掛けで、その様は湯を沸かしているよう。
子供心にも不思議に見えたものだった。

始動はフライホイールを手で回す。すると吸気弁と排気弁がパカパカ云い始める。
ついでシリンダーの中で燃料が爆発し、圧力で以てピストンを動かす。
さらにコネクチングロッドを前後させ、連なるクランクを介してフライホイルを廻す。
それが連続して作動すれば回転動力装置となる。そんな様がリアルに見て取れる。
同時に排気音も出る。簡単な消音器があったが効果はどれほどだったか。
パカパカと甲高い愛嬌のある音が特徴ともなった。

漁船にも使われた。もちろん推進動力として。
発動機は、ガソリンエンジンと同じ電気点火式機関。別名着火式エンジンとも云う。
それを搭載した漁船は電気チャッカとか、ただ単にチャカと呼ばれた。
動力付きの小舟、それがチャカだった。
回転を制御するには燃料送量を増し、合わせて電気点火タイミングを早め、
カムを調節するといった、ややこしい操作が必要だった。
農発と異なるのは前後進切替用の逆転機と推力受けが付き、海水冷却という点だけ。
機関そのもは農発とさして違わない。

発動機と称されるこの類いは、今どきの高速機関ばやりの中で馬鹿に愛らしく見える。
それに魅力を感じたか、マニアが大勢いる。
古いものを探してきては修復し、パカパカ運転しては楽しんでる。
全国に広がっている運転会はそんな連中の自慢会でもある。
ボクも一台手がけてみたいが、ちょっと歳をとりすぎた。
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by natsuman | 2017-12-04 15:09 | 菜園農耕 | Trackback | Comments(0)