サイドバイサイド          11月1日    

 我が国の銃砲取締は英国と並んで極めて厳しい。昨年だったか長崎のプールでの乱射事件などの影響を受けてついこの間、銃刀法が改正された。これで新たに決まったことは考えてみれば銃を所持するにはごく当たり前の、犯罪を起こしかねない疑いのある人物には所持を許可しないなどと、さらに細かく定めたに過ぎない。
 だから遵法精神に富み、穏やかに射撃や狩猟を楽しんでいる者には大きな影響はない。しかし、あれは駄目これもダメと決められた以上、それを扱う公安委員会、実際は警察で生活安全課の若い警察官にとっては厄介の種だ。面倒が増えたろうと同情する。
 という事情とは関係ないが、猟友会員の減少が進んでいる。往年の1/3ではないだろうか。しかも残るは高齢者ばかり。若い人がとんと入ってこない。
 これでは狩猟文化の伝承が危ぶまれる。農地や山林の荒廃に伴って野生鳥獣の跋扈は最近目に余るものがある。外来動物の跳梁も見逃せない。ボクの家の廻りでもハクビシンが出没する。猪の蔓延も間近だろう。それを誰が駆除するのか。
 それを何とか支えてきたのがハンターなのだが、齢が高まればいつか銃を放すことになる。そんな中古の銃が余り始めて銃砲店は古物商みたいな様相だ。誰も買い手がなければいつかは溶鉱炉で溶かされてしまう。
d0013739_22302534.jpg そんな中、先月、そうなる運命になってはちょっと惜しい鉄砲が出ていた。今は殆ど好まれない水平二連銃、英語ではサイドバイサイドと言う。狩猟用銃器として尤も歴史を重ね、現在以上に改良する余地がないという完成度の高い代物。これぞスポーツガンの神髄なのだが、今は本当に少なくなった。
 若い人は直ぐ自動銃を欲しがる。しかしこいつは如何に高級であっても所詮機械でガチャガチャ造る代物。文化的価値はないに等しい。
 一方二連銃はヤスリとタガネとハンマーで作る。つまり機械製品ではなく職人が手がける工芸品である。
 かっては我が国にも銃工と呼ばれた職人が居た。今や過去の歴史の中。銃刀法の改正が一番の脅威だったろう。皇室にあった各国王室から贈られた銘銃が、その美術工芸の最たる輝きを持ちながら、あたら溶鉱炉に投げ込まれてしまったのも、原因はこの法律改正であった。中でも二連銃にはそういう性質のもの、つまり美術品として価値あるものがあったのだが・・・・。
 二連銃と云ってももちろんピンからキリまである。高いものはロンドンガン。英国の銃砲店に御誂えを頼むと一丁数百万円はする。しかもペアガンと言って二丁一組でなければならない。その類が結構国内にはあるらしいが、今では皆銃砲店の奥で眠っている。そういう芸術的価値を銃に認めない国民性、そして伝統的文化をいたずらに破壊してしまった法律があるからだ。
 なおこの種の銃は軍用銃とは全く異なる。ファイアーアームスとスポーツガンの違いだ。と言ってもこの違いが分かる御仁がどれだけ日本にはいるだろう。
 さて手持ちは余り数が増えると管理上困る。しかし字を書くにも筆があり、鉛筆にペン、シャープ、さらにはボールペン等々があるように、それぞれに道具としての味わいの違いがある。誰しもがそれを使い分けるように銃器にも同じことが云えて、だから少なくとも実猟用に射撃用になどと幾種類か持ちたくなるのは当然のなりゆきだ。ハンターなら誰しもが2丁や3丁はごく普通に持っているものだ。
 だがボクの場合、一般的な12番径とは別に20番自動銃があって実猟に使っていたが装弾の管理がちょっと面倒だった。銃身は改良平筒26インチ、スラッグを使って鹿や猪用に使い勝手が好かったが、近時は大物をやる機会もなくなったので、これを処分する事にした。代わりに目に止まった水平二連を・・・・。
 銃はメルケル。旧東ドイツのメーカー、銘銃である。しかもロンドンガンに比べれば比較的廉価で、安くて良い銃の代名詞みたいな評価もある。実は永年このメーカーのサイドロックが欲しかったのだが、中古でも65万はする。新品なら130万くらいか。そんなものは到底買えない。それに比べれば大衆的なボックスロックタイプだが、作りの良さに変わりはない。それをこのまま放っておくのもどうかと食指が動いた。結局ボクの所へ来た。
 正解だった。銃の良し悪しが分からないのか今では誰もこんな水平二連に目もくれない。この銃も救われた思いだろう。
d0013739_22305568.jpg 今日早速フィールド種目で使ってみた。他の射撃銃と違って構えたときの自然さが気に入った。ただ分かっているとはいえ初めての銃、おまけに水平、しかも引き金が二つある両引き。操作になれていない。自動安全が掛かるから初矢がでないというミスも多い。それでも10枚落ちくらいで終わったから、まあまあこれは当たった方だろう。ふんふんこれはフィールド射撃に使うのも味があって良いなと納得。しかし廻りからは奇異の目が注がれるだろう・・・。
 事のついでに。火縄銃でもいい、本当は古い形式の銃でクレー射撃をやりたい。がそういった射撃文化を考えない日本の銃刀法はそれが簡単にいかない。せめて火縄銃と同じ黒色火薬を使って、有鶏頭、俗に云うトンカチを使いたいのだが、これまた肝心のトンカチが店から消えている。警察庁長官と日本ライフル射撃協会に日本クレー射撃協会の頭の固い連中に前装銃射撃国際大会を見せてやりたいね。オリンピックとは違うもう一つの古い形式の銃を使った射撃文化の国際大会だ。
 (前掲の画像の銃、本来は折った状態で架台に置くのだが、水平用の架台がないのでやむなく折らずに置いてある。つまりこれを見ても水平二連は射場では出番のない事が分かる)
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by natsuman | 2008-11-01 22:51 | Trackback | Comments(0)  

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