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5月31日(火) 初夏の贈り物ビワ

 毎年この時期になると房州特産のビワの出荷が始まる。国道沿いには[ビワあります]
の旗が目立ち、よくよく目をこらすと白い花が咲いたようにビワの袋が山の斜面にまぶしい。房州の初夏の風景だ。5月31日(火) 初夏の贈り物ビワ_d0013739_15263798.jpg 近年はハウスビワが流行し、最盛期に先んじて店頭に並ぶが、やはりその味となると露地栽培の方が遙かに抜きんでている。初物ならハウスビワであっても真底味わうならやっぱり「露地物だ。
 銀爺はビワが好きだ。果物の中で何が好きかと問われるとビワと答えたことがある。小学生の頃は吉祥寺に住んでいて、学友の庭に大きなビワの木があり、時期になると皆で木に登って食べたものだった。もちろんビワは専ら進物用で一般家庭が買って食べるという庶民的な果物ではない。我が家で買って食べた記憶は全くない。だが柔らかい産毛に包まれた黄色い身の皮をそうっとむき、そのジューシイな果肉を賞味した記憶はいつまでも心に残っている。

 それが縁というわけではないがなぜか家内は房州富浦産、それもビワの本場の南無谷の生まれ。お陰で一緒になってからこれまでビワをふんだんに賞味できる立場にあり、銀爺はこれはめっけものと喜んでる。最近はさすがにやらないが結婚したての時代にはいろいろと手伝いにも行った。とはいえビワは大変傷つきやすい果物。ミカンやリンゴのように雑に扱える代物ではない。素人が手を出せるのはごく簡単なことばかり。5月31日(火) 初夏の贈り物ビワ_d0013739_15272977.jpg ビワの収穫は、ビワもぎ(木に登り、一個一個袋を少し破っては熟れているかどうか確かめて摘果する)、イガ切り(ビワは身に触るとそこから腐るので、箱に詰める寸前まで身には絶対に触らない。そこで身を摘むためにイガ、つまり身を支えていた枝の部分を摘めるように残しておく。最後にこのイガを短く切る作業)、それに箱づくり(短い期間に沢山の箱を使うので段ボール箱の組み立てが間に合わなくなる)といったところ。
 結局ビワの実は専ら眺めるだけで触るなんてとんでもない。素人には大したことは出来ないのである。で専ら話の聞き役に廻り、ビワ栽培というものを観察し、合間に美味そうな奴を特別に選んで味を楽しむ。でいつの間にか知識とそれっぽい口ぶりだけが達者になった。

 ビワはもともと平地のほとんど無い南無谷地区の農家が生活のために始めた苦肉の農作物。海岸際の丘陵帯で山ばかり。田や畑などは自家用向けがほんの僅かあるだけ。地区内の土地はどこも高くはないものの斜面ばかりだ。その比較的風の当たらない山の陰を利用してビワの木を植え、一年の生活の大きな部分をこれで支えてきたという。歴史をたどれば貧しさが織りなす作物であったと知る。ビワ産地には九州の茂木があるが、富浦ビワは東京という絶好の消費地を控えていて全国有数のビワ産地になった。
 最近は休耕田がビワ栽培に変わって栽培地そのものが平地へ移っている。だが平地のない南無谷地区は相変わらず不自由な山の斜面のビワの木に登って作業を続けざるを得ない。南無谷はだんだん本場生産地とは云いにくくなった。
 ビワは高級果物として殆どが、専ら進物用、進上物として出荷される。昔は木箱があったが今ではその詰める技術を持つ人が居なくなり最近は滅多にお目にかかれない。大体箱が無いという。今では殆ど段ボール箱詰めである。ビワにとってはこの段ボール箱の方が遙かに具合がいい。5月31日(火) 初夏の贈り物ビワ_d0013739_15421514.jpgこの段ボール箱は随分と年数をかけて毎年のように研究開発されて今に至っている。昔のようにわらくず敷いた木箱に美濃紙でそうっと包むと、見た目にはいかにも高級品めいていて進物にはぴったりだったが、柔らかい崩れやすい実をそうっと、しかもピタリと箱の中に詰めるには大変な経験が必要で、それでいてビワに何度も触るため傷みやすいという。そういった点を改良したのが今の段ボール箱で、生産者もこの方を勧めるという。

5月31日(火) 初夏の贈り物ビワ_d0013739_15281461.jpg ビワは大変手間の掛かる果物だ。ビワ一個を生産するにも年間5回は木に登るという。受粉、花もぎ、青もぎ、袋掛け、ビワもぎ、そして庭先へ運び、選果、選別、計量、イガ切り、箱詰め、出荷配送と続く。箱の組み立てもある。しかもその間、ビワの実に直接触ることが許されない。さらに木に登ると云っても平地の木ではない。崖のような斜面に生えている木である。梅雨時になるとよく滑り、事故もしばしば起きる。ビワ作業で木から落ちたなんていうニュースが昔はよくあったものだ。
 そんな努力をして摘んだ摘んだ実を傷つけないように運ぶのも容易ではない。栽培地への通路は崖道である。かっては天秤棒で担ぎ降ろすしか方法がなかった。今では小さなモノレールが活躍している。南無谷地区のビワ農家は皆云う。平地なら事故も少ないだろうし余分な投資も不要だ。だがここはどうしようもない。古いビワ農家の泣き所である。

5月31日(火) 初夏の贈り物ビワ_d0013739_15451121.jpg ビワは決して安い果物ではない。スーパーで買える安い果物と比較されたら誰も手が出ない。でもビワほど健康優良児的な果物はないだろう。農薬の類は全く使わないし、自然の恵みそのものである。最盛期は短く、正味一ヶ月あるかどうか。ビワ売りますの旗が国道に出たかと思うとすぐに終わってしまう。今年はことに天候が良かったので熟れ方が早く、早めに終わるだろうと云う。もう少し安くなってからと思っていると、あっという間に無くなって、しまったと思うほどだ。
 さて家内が毎年この期間だけ実家へ手伝いに行ってる。ご希望があれば斡旋できる。進物用には見た目のきれいな物を、家庭で食べるなら2Lサイズで充分に上等。注文があれば特別に甘い実を詰めることも出来る。銀爺もこの木村農園の初夏の味覚を推薦する。値段は毎日変動するが概ね次と考えればいい。生産者価格で、市価の3割から3割5分引き位になるので絶対お得である。
 1.箱詰めビワ 一箱12ケ入り 大きさ4L 2500円 同3L 2200円 同2L 2000円
 2.袋ビワ(袋入りのままで選果選別していない) キロ当たり1400円 です
   以上、送料は別、お早めにどうぞ。
  注文は 「ビワの注文」と大書して
      宛先と送り先両方の、それぞれの郵便番号・住所・氏名・電話番号と、
      箱つめは  何L×何箱し、袋ビワは何キロ と明記して、
      0470-22-6886 へFAXでお送り下さい。
      代金は宅配料金と合わせて後ほど請求します。
      なおこれは信用取引が出来る方のみ請けます。
      ご縁がないと思われる場合はお断りすることがあります。
  
 生産者の木村農園は房州ビワ栽培の元祖的中心農家。皇室献上ビワは3代前のお祖父さんが始めたもの。千葉県の歴史にも残ってる。2代目も3代目も房州ビワ生産に大きな貢献をしてきた家柄。今は4代目が頑張ってます。

by natsuman | 2005-05-31 15:49 | Trackback(1) | Comments(0)  

Tracked from コウシキモドキ at 2005-06-01 16:51
タイトル : もぎびわ!!
昨日叔父さんからもらってきた茂木びわ。 まだちょっと青かったというか、すっぱかった。 もう少し待てば甘くなるでしょう。 小さいころは知らなかったけど、びわって高いんだねー!! 地元が地元なので、よく親戚からもらって食べてたもんだから あんまりそんなイメージはなかったけど。 そして相変わらず食べにくいねー。 大学近くの某ラーメン屋さんで読んだ「美味しんぼ」にもその話あったし。 でも要は芯さえ取ればいいわけで。 小学生の時に山を散策していて、びわの...... more

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