テクノス・スカイダイバー 11/1

 テクノスという時計があった。今から40年くらい前だ。
 画像は今も引き出しに残っているスイスメイドのテクノス・ダイバーウオッチ。自動巻、日付付き。裏蓋はがっしりとしたオイスターケースが誇らしげ。
d0013739_13574563.jpg 本来はタイムリングが付いていたが、潜水作業中、岩にぶつけて奥深い岩間にリングを落としてしまった。以来この姿である。
d0013739_13591975.jpg この時計、当時7万5千円位した。それを友人のつてで大分割り引いて手に入れた。相手は平和堂貿易である。その会社は今はない。
 テクノスのブランドは今もあるが当時のテクノスとはメーカーが違う。オメガやロレックス級ではないものの、まあまあ高級品だったように記憶する。今のはもっぱら安物を商品にする別会社になってしまった。
 当時の給料が2万5千円位の時の買い物である。当時に比べて物価が10倍以上になった今なら、さしづめ25万円の給料で75万円の時計を手に入れたのに等しい。
 なけなしの預金をはたいて手に入れた。何としても水の入らないしっかりしたダイバーウオッチが必要だったからだ。
 その頃、潜水用時計に国産品はなかった。開発中で同僚らがセイコーの試作品を使っていたが、すぐに水が入って使い物にならない。それもはせいぜい水深5mの潜水で。
 対してボクは調査対象が異なり水深が深い。浅くても25m。それに対応できる時計は当時オメガだけと云われた。それが50万だと。今ならさしづめ500万というわけだ。そりゃ無理だ。
 なおボクの最深度記録は水深55m。シングルボンベでの潜水としてはこれが限度である。
 空気ボンベ携行によるスキューバ潜水では、潜水深度と同じ圧力の空気を呼吸することになる。すると厄介なことに空気中に含まれる窒素ガスが血液中に溶け込む。しかも簡単には抜けてくれない。 もしこれを放置して一気に浮上すると窒素ガスが血管中で気泡になる。これがいわゆる”潜水病”だ。
 もし発症すれば死に至るか一生不具者になるかだ。そこで時間をかけてゆっくりと慎重に浮上することになる。もちろん空気が要る。結果、12リッターのシングルボンベ程度では、水深55mの海底にわずか5分しか要られない。殆どは浮上の途中、減圧のために停滞しながら呼吸する分だ。
 だから潜水病にならないために時間とにらめっこ。降下する分にはいくら早くても良いが浮上は慎重さが不可欠。あらかじめ計算した体内ガス圧係数を考慮してゆっくりと上がってこなくてはならない。
 それ故しっかりした時計が必要だった。幸いこの時計は有効に機能してくれた。命の備品とも云える。
 ガラスも側も傷だらけ。見るも無惨。だが処分できない。ボクの歴史である。
 いまオークションで見ると高級品とある。しかも滅多に出ない。それでいてこの古くさいものが3万5千円位もする。何とかOHしてまた身につけたいと思うのだが、肝心のタイムリングがなあ・・・・。
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by natsuman | 2015-11-01 14:11 | 歴史諸々 | Trackback | Comments(0)  

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