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名水地に処理場とは 9/11

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 栃木県に塩谷町というところがある。町とはいえ殆どは山林だ。
 鬼怒川温泉の東方、日光地区の西方。深い森に覆われている。少し入れば人ッ気がない。そこが放射能汚染廃棄物の処理場として狙われた。町は大反対運動を展開している。
 石原大臣はこのまま進めるだろうか。人ッ気がないだけに良い自然が残っている。が観光客は滅多に来ない。だがある存在を知っている人は実に大勢やって来る。
 ゆるやかな山岳地形と地質。豊かな水が森を育み、その裾には水田地帯を形成している。清涼な水に恵まれた、それが総てのような所だ。
 そこに全国に名を知らしめた湧水地がある。もちろん日本名水百選の一つ。それもかなり上位に。その名を”尚仁沢湧水”という。正確には湧水群と言うべきだろう。
 大分前、脊柱管狭窄症で一気には100mほどしか歩けない頃、杖を頼りに歩いては休み、休んでは歩いてを繰り返して必死に数キロの山道をたどったことがある。脚はしびれるし、とはいえせっかくここまで来たのだからと途中引き下がるわけにもいかず、今思えばよくまあ頑張ったものだ。
 超有名な名水という看板に惹かれたのだ。ポリタンクを片手に。もっともそんな苦労をしなくても水は手に入ることを後で知るのだが。
 道はか細い山道。丘を超え流れを渡り奥へ奥へと続いている。いい加減飽きた頃に湧水地と対面する。さほど高くはない丘陵地帯の斜面から点々といくつもの泉が流れ出ている。右も左も上も下もどれも溢れるばかり正にガンガンわき出ている。それがいくつも合わさって沢となり渓流となり流れている。
 壮観である。薄暗い林内に白い激流がいくつも筋のように流れ、なるほどこれは素晴らしい。よれよれの足で頑張ってやって来た甲斐があったと思った。
 こんな素晴らしい湧水地があるというのに、国はこの近くに放射能廃棄物処理場を建設しようとしている。役人達はこの素晴らしくも見事な湧水群を知っているのか。石原君は見たか。
 車では行かれない。少なくとも一時間は山道を歩かなければならない。為政者はある種無知である。興味も関心も持たない。そうであれば彼らが歩くはずもないか。
 実はこの銘水、さるところで手に入る。延々と管を引いて誘引してある。はるか下のダムを見下ろす公園内に名水がほとばしり出ている。なにも重い水をわざわざ現地から運んでくることはなかった。
 見れば皆さんポリタンクをわんさと積んで水を汲みに来ている。商売用にと随分と遠方から汲みに来ているらしい。台車やカートまで積み込んでせっせと運んでいる。何せタンクの数が多く半端じゃない。一人が水汲みに掛かるとなかなか次の方に番が回ってこない。
 脇に注意書が出ている。水を積み過ぎないようにと。これまで水を積み過ぎた事故が何件かあったらしい。事ほど左様にこの水は人気がある。
 農家の点在する塩谷町の田園には無数の処理場反対のぼりが翻っていた。ボクも一本建てたい気分だった。
 

by natsuman | 2014-09-11 09:25 | 時事世論 | Trackback | Comments(0)  

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