大型船は直ぐにはバックできない 6/26

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 昨日の宿題、皆さん分かりましたか。答えはエンジンを逆回転させるです。
(外にエンジンは正転したままプロペラのピッチを変える方式や電気推進など電気モーターで簡単に逆転させる方式がある。だがこれらはある種特殊の部類に入る。運航費の経済性からは低速ディーゼルエンジンで後進は自己逆転式とするのが殆どだ。)
 内燃機関は吸入・圧縮・爆発・排気を繰り返させればどっち回りであろうが回転する。その方向を変えれば逆にも廻るわけだ。後進に切り替える時は、機関を一度止めて、今度は各種弁装置を調整して逆方向(左回転)に回転するように始動し直せばいい。だが比較的小型なエンジンではギアを介して回転の向きを変える方が安上がりなので、小型高速なエンジンに自己逆転方式はない。
 もっとも、英国製の船外機にシーガルというのが昔あった。こいつはひょいと肩に担いで自転車に乗って運べるという手軽さが売り物で、これが後進ギアのない自己逆転式だった。始動用のハンドロープを逆に巻いて引くと逆転する。それでもって後進が出来た。でも最近は見たことがない。

 さて現代人はさすがに車には馴れている。だが船となると案外素人である。船は止めにくい止まらないという本質が理解出来ない人が多い。車と違う一番の特性はまず水の上に浮いていることである。だが水は流動しやすく、よって一定位置に留まると云うことが出来ない。止まっていても風や海流に流される。車のようにブレーキを踏んでいれば一個所に留まれるというようなものではない。それには錨を使うしかない。
 大体、船にはブレーキがない。動いている船を止めるには何らかの方法で前進エネルギーをつぶすして止めるのだが、推進器があればそれをいじって、例えば逆転させて止められる、小型船なら車のようにギア一つで出来ることが大型船になるとそうは簡単に出来ない。
 船は大きく運動エネルギーは大きい。エンジンそのものの運動エネルギーも大きく、それを止めて再び逆回転に始動するまで時間が掛かる。モーターボートとはわけが違うのだ。
 航海中、突然そんな後進指令が飛んだら機関室は大騒ぎだろう。逆転させるまで時間が掛かるから指令を飛ばした方のブリッジでは早く早くとハラハラ。何とかスクリューが後進に入っても、船の前進エネルギーを止めるまでにはこれまた時間が要る。
 都合どんなに素早くやっても10分位は掛かろうか。その間、なおも船は前進を続ける。
 10ノットで走っていればその間3000mも走る。大型船の操船が難しいのは、そんな先の危険を常時予測して操船しなければならないのが理由だ。

 画像はNetから拝借。世界最大級の超大型コンテナ船。8450個も積むという。全長355m、戦艦大和よりも80mも長い。大和がすっぽり載るだろうね。
 総トン数94,724GT。主機関2サイクルディーゼル、約46、000ps、航海速力24.5ノット。日本のIHI、MU社が受注。全部で8隻も就航という。但しオーナーはドイツの会社。
 主機関はもちろん低速ディ-ゼル、定評あるMAN型。回転数は1分間に103回転。後進は当然自己逆転方式である。確認するまでもない。
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by natsuman | 2014-06-27 08:35 | 艦船舟艇 | Trackback | Comments(0)  

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