船名の書き方 6/1

 6月に入った。今朝は濃い霧が海上を覆い、遠くに霧笛が響いている。穏やかな一日になるだろう。皆さん良い季節だとご満悦。だがじきに入梅になる。それまでのつかの間の初夏、良い時期に生まれた。
 朝刊の広告に目が行った。仙台から苫小牧への北海道航路の大型フェリーのそれ。なかなか優美なスタイルをしている。船というものはスタイルが良いとああ乗ってみたいと思わせるものだ。
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 夏の北海道旅行のシーズン到来。時期が時期だから北海道への船旅がいいなと思いつつも、目が行ったのは船首部の”船名”。
 右側船首部にさりげなくひらがなで”いしかり”と表示している。当然同じ文字が左舷側にもあるだろ。しかし左舷側はどうでもいい。問題は右舷側。それも書き方である。
 今では公文書も横書き。手紙さえも横書きが主流である。書く方向は左から右へ。それを逆に書く人はいない。船名表示も左から右ヘが当然だろう。船の進行に伴い後方へ流れ去るように書く、それが自然である。
 悩むのは右舷側。左舷側と同じ考えでいくとつい右から左へと、左舷側とは逆に書きたくなる。実際そういう書き方をした船は沢山ある。船名は船首側から書くものだと決めつけたみたいに・・・・。
 しかしそれでは右舷側だけ縦書きになってしまう。日本語は元来縦書きである。巻紙に大きな文字で書けば自然左から右へと書くことになる。それと同じだと。
 実はボクが建造に関わった船も殆どがそうだった。左右両舷とも船首側から横書きとした。それでは縦書きになる。左右両舷共に横書きならば、右舷側も左から右ヘと書くべきと主張するのだが、いつも多勢に無勢で押し切られてしまう。素人考えが多数派だった。
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 その点、このフェリー”いしかり”の船名表示はちゃんと左書きの原則で表している。何だか久しぶりに正しい表記に出会った思いがした。
 右から左への横書きもなるほど横書き風には見える。でもそれでは実は縦書き。日本語の縦書きで最初の一文字の次の文字が下へ来るべきところを行を変えて横になっただけのこと。書や扁額の文字を見れば分かる。'いしかり”は正しい。

因みに、練習帆船日本丸”もクルーズ客船”にっぽん丸”も、右舷側は縦書きでしたな。
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by natsuman | 2014-06-01 09:37 | 艦船舟艇 | Trackback | Comments(2)  

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Commented by tokyokid at 2014-06-01 23:09 x
なるほど。私も街頭でみるトラックなどの商店名で、この問題はいつも念頭にありました。日本人は、古いものを「弊履の如く」捨て去るのが得意ですが、結果としてなにかいつも走り回っている感じが拭えません。
Commented by natsuman at 2014-06-02 08:55
日本には横書き風の実は縦書きという文化があるからややこしくなるのですね。
お説の通り、トラックなどにもそういった誤りが随分とあるものです。

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