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「渚の駅」開店 3/25

 朝から良いお天気にはなったが吹き付ける風が冷たい。館山湾も白浪が立っている。ラジオ体操もやむなく風陰で。この時期にこんなことは珍しい。これでは本命のサクラの開花も一週間は先。盛りは二週間先とは勤番花見係の開花予想だ。
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 この風の中、市の海の駅が開店した。どうなるかと思いつつ行ってみた。この施設、元は県立博物館。当初の企画では海洋博物館と聞いていたが、海のそばにありながら、どうもその名に馴染まない展示が中心で、それでも海洋民俗資料に関する展示を主に行っていたものの、ボクの頭にある海洋博物館のそれとは大分違う。
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 館山近辺は沿岸漁業盛んなところで、古くは日本の北洋漁業や捕鯨の先進基地でもあった。それだけに漁民活動に関する博物資料はそれなりに意義はあるが、東京の近傍にあって適度な広さと錨かきの良い砂質の海底は船舶の錨泊地や避航地として古くから航海者に親しまれ、内外の歴史に登場する船舶の多くを市民は目にしてきた。
 また今なお沿岸航海を主とする海運業者や、世界の各地から東京横浜を目指す国際航海の多種多様の船舶や艦船で賑わうところでもある。
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 東京に近いこともあって水揚げ施設や物揚げ施設など漁港や港湾としての機能は少ないものの、商船関係や水産関係の各学校の練習船、実習船、帆船、汽船、海保の巡視船、自衛艦や各国海軍艦艇の外にも、最近では世界一周に着くような大型クルーズ客船も寄港して、館山市はこの海この湾無くしてはと思わせる存在にもなっている。
 つまり海運やその主役たる船舶、その航海、活躍する環境である海洋の神秘などに振り向けるべきではなかったのか。海洋博物館とはそういう性質のものだと理解すべきではなかったのかと。
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 にもかかわらず「井の中の蛙、大海を知らず」でか、これほどの地であるにもかかわらず、海洋、海運、航海、保安、防衛等の視点からの地元の人達の関心や意識、知識、理解は大きいとは云えない。もとより職員の意識も同じようなもので、館の運営方向は正に正鵠を得ているとは言い難かったのだ。
 それが県の財政逼迫を機に館山市へ押しつけられ、既に博物館はあるのに余分な施設をさらに運営せざるを得なくなって市は苦境に立たされる。困惑した市は苦肉の策とばかり、折からの「渚の駅」考想を搦めて観光施設へと変身させてしまった。
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 既に漁労民族的な資料や展示物も片隅に追いやられた雰囲気が濃厚。このままでは将来どうなるやらと心配するのはただ老人のみか。

by natsuman | 2012-03-25 16:48 | 季節折々 | Trackback | Comments(0)  

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